エデュワードプレス
2020年3月
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京都大学 複合原子力科学研究所では、放射線治療の1つである、ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy, 以下 BNCT)研究を、研究用原子炉からの中性子を利用して、悪性脳腫瘍、難治性頭頸部腫瘍、悪性皮膚黒色腫等の通常X線に抵抗性の腫瘍、多発性肝腫瘍、中皮腫等、他の放射線・粒子線治療では狙いにくい腫瘍を対象として臨床研究を実施してきました。近年では、病院併設可能な加速器中性子源を用いた照射システムの開発に成功し、複数の医療機関が導入、治験を実施、来年度中には承認医療として医療機関で実施されることが期待されています。
BNCTで使用する中性子線は体深部に十分量が到達しない点から、現時点において、BNCTの適応は体表から浅い位置の悪性腫瘍に限られる一方、イヌ、ネコなどの伴侶動物の大きさであれば、どの部位の悪性腫瘍へも十分な中性子量の投与が可能であり、また腫瘍細胞と正常組織細胞の間に、細胞レベルで投与する線量に大きな差を付けることが可能で、原則、1日1回の照射で治療終了です。また、BNCTは重粒子線治療に分類され、伴侶動物の悪性腫瘍で多いとされる肉腫に対して治療効果が期待できます。
本シンポジウムでは、病院に併設可能な小型加速器BNCT照射システムを用いた伴侶動物に対するBNCTの適応について、 諸課題と併せヒトの放射線腫瘍学と獣医学分野における双方向性の学術的な異分野融合研究の可能性を議論します。
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