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『犬と猫の臨床検査マスターブック』の掲載記事中、以下の記述に誤りがございましたので、訂正させていただきます。 読者の皆様および関係者の方々に多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを、謹んでお詫び申し上げます。
2021年3月11日更新
膵炎を起こした患者では、膵臓の逸脱酵素としてアミラーゼやリパーゼの血中濃度が上昇するので、疑わしい患者ではこれらの項目を測定します。しかし、アミラーゼやリパーゼは実は膵臓以外の臓器に異常があるときにも上昇しますし、膵炎のときでも数日過ぎると下がってしまいます。つまり、特異度も感度も低い検査ということになります。特に猫においては、これらは全く信頼できない検査であると現在では考えられています。実際、次に紹介するPLIが測れるようになったことで、これらを測る機会は以前と比べるとかなり減ってきたといえるかもしれません(アメリカの消化器科のある専門医は、自分についた研修医にはアミラーゼとリパーゼを絶対測らせないとまでいっています)。それでも、膵炎が疑われる犬で極端に高い値を示した場合は参考になりますし、院内ですぐに結果を出せる利点もありますので、完全に測定価値がなくなったわけではないと思います。測定試薬を改良する試みは、現在でも続けられています。
膵炎を起こした患者では膵臓の逸脱酵素としてアミラーゼやリパーゼの血中濃度が上昇しますが、これらは膵炎以外でも上がることがあるため、特異度が低く実用的でない検査といわれてきました。しかし近年、反応試薬を工夫することで、犬のリパーゼ検査の特異度を上げることができるようになってきました。例えば、DGGRという物質を使ってリパーゼを測定すると、後で述べるPLIのように高い特異度を得ることができます。ただしDGGRを使ったリパーゼの測定は院内では難しいので、臨床現場では外注検査に活用されています。また、院内測定でも富士ドライケムの検査スライドv-LIP-P(富士フイルムVETシステムズ)は、トリオレインを使って基質の化学構造に工夫をこらし、DGGRと同等の特異度を達成しています。DGGRやv-LIP-Pが使われるようになったことで、膵炎の診断は飛躍的にやりやすくなったといえるかもしれません。
※発刊当初から大きく状況が変わったため要修正としました。
(2021年3月時点)
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