猫の不適切な場所での排尿とその識別に関するリスク因子:診断のための徴候の感度と特異度

猫の不適切な場所での排尿とその識別に関するリスク因子:診断のための徴候の感度と特異度

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Common Risk Factors for Urinary House Soiling (Periuria) in Cats and Its Differentiation: The Sensitivity and Specificity of Common Diagnostic Signs

Barcelos AM, McPeake K, Affenzeller N, Mills DS. Front Vet Sci. 2018; 5: 108.

 

猫の不適切な場所での排尿(マーキングまたは排尿行動によるもの)に関しては多くのリスク因子や誘因が仮定されているが、その重要性はほとんど分かっていない。Barcelosらは、不適切な場所での排尿に関するリスク因子の重要性と、マーキングと排尿行動の識別に用いられる徴候の感度および特異度に関する研究結果をFront Vet Sci.誌に発表した。著者らは、インターネット調査(期間:2016年4月~6月)で得た飼い主の回答を、マーキングと排尿行動の識別に用いられる41の潜在的リスク因子と15の予測因子で評価し、対象の猫245例をコントロール群113例、マーキング群40例、排尿行動群92例に類別した。リスク因子は単変量解析を行い、関連性の解析ではノンパラメトリック検定を用いた。さらに4つの基本徴候[排尿姿勢、排尿後の砂かけ、排尿場所の角度(水平面または垂直面)、尿量]の感度および特異度を算定した。結果は、潜在的リスク因子として、年齢(マーキング群は他の2群より高齢)、多頭飼育(マーキングと排尿行動のリスク増加)、猫用扉の設置と屋外への自由なアクセス(マーキングの高発現)、屋外へのアクセス(排尿問題の低発現)、トイレ外での排便(排尿問題の高発現)、飼い主への重度の依存(排尿問題の低発現)、リラックスした性格(マーキングの低リスク)に有意差が認められた。トイレの属性(設置場所、清掃頻度、サイズなど)および疾患関連の因子に有意差は認められなかった。また、個々の基本徴候は、診断に有用な予測因子として認められなかった。著者らの考察は、猫用扉、多頭飼育、飼い主との絆、性格に関連する因子といった社会環境の重要性を強調している。さらに、特定の症例を除いて物理的環境は一般的なリスク因子として重要ではないと述べ、不適切な場所での排尿に関する多くの仮定の健全性に疑問を投げかけている。

 

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2018.00108/full

PMID: 29892606

 

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